受刑者への書籍の差し入れ数を大きく削減した刑務所の対応を「違法」とした逆転判決が出た。受刑者にとっての読書を、裁判所はどう位置づけたのか。(米田優人)
「書籍の閲覧は教養を身につけるうえで有効で、原則として保障されるべきだ」
東京高裁は2月、受刑者らの読書の意義に言及し、外部からの差し入れ冊数を大幅に減らした栃木刑務所(栃木県栃木市)の判断を違法とした。
判決によると、同刑務所は2020年1月、書籍の受け入れ業務が逼迫(ひっぱく)しているとして規則を変更。1人ができる差し入れ冊数を「1日(原則平日)1回3冊まで」としていたのを、95%減となる「月1回3冊」に変えた。
このため同刑務所に服役していた女性受刑者が同年7月、知人や支援団体から差し入れられた書籍39冊を上限超過を理由に受け取れず、制限は違法などとして国に220万円の損害賠償を求めて提訴した。
裁判所の判断は
昨年3月の一審・宇都宮地裁栃木支部は、「刑事施設の管理運営上、必要な制限として不合理とはいえない」などとして請求を棄却した。
これに対し東京高裁は、全国…